≪第3章 キミに想い伝う冬、そして…≫
ボクはソウタに内緒で、作戦を進める。
ある木曜日、生徒会会議後の真っ暗な昇降口。
その一角にある、イリの下駄箱に手紙をそっと忍ばせる。
ケータイは持っておらず、イリのメアドも知らなかったから、
このような古典的な方法を取るしかなかった。
[もし、付き合うことが出来るなら、
ケータイを買ってもイイ]とも思った。
『昼休みの1時に、図書室の前に来て下さい。』
翌日、授業もうわの空の中、昼休みを迎える。
これもソウタにバレないように、先生との二者面談後に呼び出す。
待ち合わせの場所に、イリは少し遅れてやって来た。
ついに、ボクの人生初の告白が始まった。
「あのさ、ホンマに迷惑な話かもしれんけど・・・」
手紙で呼び出されたことで、その雰囲気を感じ取っていたんだと思う。
イリは終始、俯き加減だった。
「ボクさ、金沢さんのコトが気になってて、
別に興味なかったら断ってくれてイイんやけど、
もし良かったら付き合ってくれへん?」
意外と緊張もせず、あっさりと出た一言。
「・・・しばらく考えさせて。」
ひとまず、イリが出した答えだった。
その後、雑談をして、[イイ結果]が返ってくることを期待して、
ボクはイリより先に立ち去った。
__ しかし、理想の展開を迎えることはなかった・・・
数日経っても、イリからの返事は無い。
あっという間に、終業式。
思い切って、再び下駄箱に手紙を入れ、呼び出した。
・・・断られてもイイ、とにかく直接,返事が聞きたかった。
そして迎えた、運命の昼休み。
寒空の下、隣の工事現場を見つめながら、
イリが来るのを、待ち続ける。
__ しかし、
約束の時間を過ぎても、彼女が来ることはなかった。
悔しさと腹立たしさを胸に、ボクは教室に戻った。
傷心のまま、ソウタとカラオケへ。
告白直前、気がつけば,ボクはラブソングばかりを熱唱していた。
でもその日は、寂しげなバラードばかり歌っていた。
十八番の「冬のキャンドル」を歌うも、調子が出ない。
追い打ちをかけるように、
ソウタが歌う
「純恋歌」には、思わず胸がギュッと締め付けられた。
数日後、ソウタを通して、ボクの元にイリからの手紙が届いた。
忘れられないあの日・・・ちょうど、クリスマス・イブだった。
『付き合うことはイイことかもしれんけど、
今は付き合えません。
手紙で、ホンマにゴメン。』
__ 結局、昨年と同じ“過ち”を繰り返してしまった。
普通に話せる女子との
“普通の関係”を、
またしても自ら壊してしまった・・・
「もう恋は絶対にせえへん!」・・・去年も同じことを思った。
__ でも、その決意はすぐに崩れ去った・・・
ホントに好きだった、
純粋に好きになった仔だった。
話せるだけで、ホントに嬉しかった。
これからは気まずくて、もう話すことはないかもしれない。
脳裏には、何も無かった頃の楽しい思い出が次々に浮かぶ。
文化祭、修学旅行、平凡な毎日・・・
“失恋のショック”は、想像をはるかに超えていた。
新学期に会うのが、怖くて辛くて・・・
__ 一瞬、
“死”を思った。
寒い湖に身を投げる、誰かひき逃げしてくれないか、
病気にならないか・・・死ぬ気も無いのに、ひたすら思い詰めていた。
ひたすら、後悔・・・過去にも何度も思った。
できることなら、
純粋に恋していた
“あの頃”に、もう一度戻りたい!
でも、今まではこうなるのが怖くて、告白できずに終わっていた。
[結果はダメだったけど、
自分の口で直接
“告白”できたのは、大きな前進ちゃう?]
友達のアドバイスに励まされた。
そして出した答えは・・・
“生き続けること”。
失恋ぐらいで、死ぬのは弱すぎる。
恋だけじゃない、勉強なり夢なり、まだまだ人生は長い。
いつかは一連の騒動が、イイ思い出に変わる日が
きっと来ると信じて・・・
結局、現実から逃げ続けているコトになるのかもしれない。
そうだとしても、
前向きに生きていくしかない。
でも、せめて“普通の友達”として、
もう一度やり直されないだろうか・・・?
いつまでも引きずる、自分の悪い癖だと思いながら、
イリへの“最後”の手紙を書き始める。
「こんなこと書いたら、余計に嫌われへんやろうか?」
「こういう表現の方が、エエかもしれんなぁ?」
冬休み中、自分の部屋にこもって、
何度も書いては破り、何度も書き直した。
『すっかり嫌われてしまったと思うけど、
前みたいに、普通に話せる関係に戻れへんかな?』
これがやっと完成した手紙。
友達として、もう一度ボクに構ってくれるかどうか?
その判断は、全てイリに任せよう。
__ 雪がちらつく冬の朝、淡い期待を込め、
そっと、イリの下駄箱に手紙を入れる。
そして緊張の中、教室への階段を上る。
“新たな一歩”を踏み出すために・・・
≪エピローグ 届かぬ思い≫
結局、その後もイリとは、
以前のような関係には修復できず、
憂鬱な日々を過ごしている。
「イリが望むなら、もう2度と関わらない。」
自分からそう約束したものの、
言いだしっぺの自分がもう崩れそうになっている。
年明けの席替えで、より近くになってしまった。
近いのに、遠い存在のイリへ、
ボクの想いよ どうか届いてほしい・・・
『♪近くて、遠いキミへ』 作詞:管理人・天 作曲:??
キミに告白してから もうすぐ2カ月
気まずい雰囲気 互いに遠ざかってる
斜め前のキミ 近くにいても
声を聞き 姿を見る度
顔をそむけ 宙(そら)を仰ぐ
いつも 無理して笑ってる
本心隠そうと 必死にテンション上げてる
告白しなきゃよかった 今は後悔だけ
憂鬱な毎日 ひとりぼっちの帰り道
もしも こんなボクを許してくれるなら
どうか もう一度振り向いてほしい
キミと話せることが ささやかな幸せだった
消せない キミへの思い
近くにいるのに 遠いキミへ届け
何とか キミとやり直したくて
机に向かい 手紙を書く
言葉を選びながら 目を閉じる
キミとの想い出 浮かべてみた
笑い合ったあの日 とぼけた一言 甦る
ただの友達 一線を越えてしまった
叶わぬ恋と 分かってたはずなのに
もしも こんなボクを許してくれるなら
どうか もう一度振り向いてほしい
キミと過ごす瞬間(とき)は 残りわずか
消せない キミへの思い
もうボクの目の前に いないキミへ届け
授業中 先生に指され
戸惑うキミ 応援したくなる
休み時間 独りでケータイ触りながら
寂しいのかな 勝手に心配する
声を掛けてあげたいけど 勇気出ない
キミが普通に接してくれても
素直になれないボク キミを拒絶する
こんな自分はダメだと 分かってるけど
癒えぬ傷跡 トラウマになりそう
どんなにあがいても 越えられない失恋の壁
もしも 失った刹那を取り戻せるなら
淡い恋心 持ってたあの頃へ 戻りたい
そんな願いは 叶うはず無い
キミと仲直りする 奇跡を夢見たけど
現実(リアル)は そんな容易くはない
夕暮れの学校 バス停の前で
心友とはしゃぐ キミの前を
何も言わずに 通り過ぎてく
もしも こんなボクを許してくれるなら
どうか もう一度振り向いてほしい
かけがえのない 出会いだった
消せない キミへの思い
虚しく響く 切ないラブソングにのせて
友達と同じ仔(ひと)を 好きになった
アイツにだけは 盗られたくない
ボクは 焦っていたのかな
根拠もない ありふれた自信で
キミの気持ち 考えることもせず
「好き」 たった一言で 壊れた2人の関係(つながり)
近づきすぎると ダメになることを知った
同じ過ち また繰り返した
意地悪な神様 忘れさせてくれない
帰り道の 夕立雲 わが心
いつも向かい風 試練与えてくる
日を重ねる度 思い詰めてしまう
前に踏み出せと 友達に励まされても
自分が生きてる意味 あるのかな?
ボク自身を追い詰め 傷つけたくなる
死への願望 増してく
もしも こんなボクを許してくれるなら
どうか もう一度振り向いてほしい
知らず知らずに 後ろ姿追いかけてる
消せない キミへの思い
友に取られるかも 不安を抱えてる
キミを忘れようと 歩んだ時を封じ込めても
全ての想い出が キミと接続(リンク)する
影も破片(カケラ)も 残らない
キミを そしてメモリーを 失うのが怖い
幼き頃は 存在消して 気持ちを押し殺して
現実から 逃げていたけど
初めての告白 俯くキミの姿
忘れようとしても 今回は無理
まだキミのコトが 好きだから・・・
せめて 友達として キミと再び歩んでいきたい
それが今 ボクのたった一つの願い
絶望のピーク超え キミを忘れてしまう前に
無理だよね 自分に言い聞かせても
I can't live without You.
この思い キミへ届け
※この物語は、ほぼノンフィクションです。
ただし、名前等は架空で、事実とは異なります。
≪作者 あとがき≫
2日連続でお届けした、管理人・天の初“恋愛小説”、
みなさんいかがだったでしょうか?
若干、引く表現もあったでしょうが・・・
この物語は、ほぼ“ノンフィクション”で描いています。
エピローグでの詩は、まさに今の気持ち,そのものです。
失恋のショックを隠すためにわざとテンション上げ気味になったことも、
軽い“自殺未遂”をしたことも、
片思いの相手と仲直りする夢を見たことも、
バス停の前で無視し合ったことも、事実です。
今回の恋を通して、得た教訓があります。
友達には、「“結果論”やろ」と言われましたが・・・
①早まってはいけないコト
②近づきすぎたら、ダメになるコト
これはあくまで、ボクの場合です。
友達に相手を取られるのが怖くて、
焦って、告白をしてしまった今回。
我慢するという選択肢もあっただろうに・・・。
そして、
“見返りの愛”を求めないこと。
中学時代の国語の先生も言っていたのですが・・・
片思いの相手と、もっと話したい!仲良くなりたい!
積極的に話しかけるのはイイことだと思いますが、
あまりにもオーバーだったり、しつこ過ぎたりするのはいけないなぁと。
相手に構ってもらえない時は極端に落ち込んだり、
構ってもらえた時は喜んで、もっと見返りを期待する・・・
現実は、なかなか上手くいきませんでした。
その後、
何度か仲直りできそうな機会もありました。
でも、結局上手くいかなかったようです。
あれは、
“幻”だったんだろうか・・・?
告白せず、思いを隠し,友達に取られるかもしれない恐怖と
積極的な友達に比較しての劣等感を持ったまま、違うクラスになるか、
思いは伝えるだけ伝えて、結局振られて、
失恋のショックを抱えて、憂鬱な毎日を過ごすのか・・・
どちらが良かったのか、ボクにはまだ分かりません。
そんな時、国語の授業で
夏目漱石の『こころ』に出会いました。
三角関係、恋のライバル、自殺・・・
少し話は違いますが、共通点も少なからずあるかなと。
「恋は罪悪ですよ。」「精神的に向上心のない奴はバカだ。」
ボク自身、“精神的”に弱過ぎるんです。
だから、自殺未遂なんかしてしまうんですけど・・・
勝手に片思いして、気ままに告白して、結局振られた
“当てつけ”のような小説に思われても仕方ありませんが・・・
どうか、ご理解下さい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
≪完≫
みなさんの“恋エピソード”はありますか?
管理人・天の“思い出のラブソング”
♪最愛 歌:福山雅治
管理人・天が、この恋愛小説の主題歌に勝手に指名した
福山雅治さんの「最愛」。
元々、人気ドラマ「ガリレオ」の映画版『容疑者Xの献身』のテーマ曲で、
福山さんと柴咲コウさんの“KOH+”が歌っている曲。
その後、テレビCMで福山さんがソロカバーしました。
これはまさに、失恋したボクの思いそのまま!
自分で言うのも、おかしいですが
儚く消えた恋、せめて友達として、またやり直したい。
先日、カラオケでこの曲を歌ったところ、89点を記録。
新たな“十八番”になったと共に、応援歌ともなりました。
♪冬のキャンドル 歌:木内梨生奈
カラオケといえば、この曲も歌っていました。
2007年度に放送された、「天てれ」のMTK。
個人的には、MTKでの“究極のラブソング”。
冬にピッタリの切なく、熱い恋うたになっています。
歌ったのは、当時の天てれ歌姫・梨生奈。
美しい伸びのある声が印象的でした。
告白前、いつもカラオケのラストに熱唱!
今では歌えなくなった、思い出の曲です・・・。
≪番外編≫
♪未来予想図Ⅱ 歌:DREAMS COME TRUE
続いては、お気に入りの曲。
つい最近まで、あまり興味がなかった「ドリカム」の楽曲。
でも昨年度の「天てれ」生放送の『ウキウキ 青春リクエスト』で
樹音が歌っているのを聞いて、一目で気に入りました。
一時はボクの“十八番”になったことも・・・
特に好きなのは、サビの直前からサビの部分。
しかも、前の「未来予想図(Ⅰ)」と後の「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」と
歌の内容が繋がっているのが、すごいなぁと思いました。
究極のラブソングといえば、最近では
『♪366日』、
「青春リクエスト」で菜々香が歌った
『♪恋におちて -fall in love-』もありますね。
また、「バレンタインデー」の定番といえば、
『♪バレンタイン・キッス』ですよね。
このシーズンになると、テレビで流れているのをよく耳にします。
緊急臨時速報!
Dream5『RUN TO THE FUTURE』、
アルバムCD『MTK the 14th』
3月発売予定!
詳しくは、⇒http://tentere.shiga-saku.net/e342010.html
⇒http://tentere.shiga-saku.net/e390123.html
≪ブログからのお知らせ≫
“天てれランキング投票”受付中!
~2009年度 お気に入りドラマ&MTKは?
詳しくは、ページ横のブログパーツをチェック!~
管理人・天、
『twitter(ツイッター)』も毎日更新中!
★『ベスト・オブ・天てれ’09』、
来週金曜日スタート!
当ブログでは、特別企画「ベスト・オブ・天てれ’09」がスタート!
残りわずかとなった、2009年度の「天てれ」の中から、
天のお気に入りコーナー等の1年を振り返ります。
今後の更新予定はこちら・・・
≪今後の『ベスト・オブ・天てれ’09』 更新予定≫
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3月14日(日) ☆最終回SP 天てれレギュラーコーナー 一挙プレーバック!
※都合により、更新内容が変更になる場合があります。ご了承下さい。